脊椎圧迫骨折

骨は骨代謝により、常に破壊と再生を繰り返すことで新しく生まれ変わっています。しかし加齢により骨の再生より破壊がまさり、骨量が減少し骨がもろくなります。これが、みなさんご存知の骨粗鬆症です。

脊椎圧迫骨折の原因としては骨粗鬆症が背景にあり、ちょっとした動作(転倒や尻もち、せき、くしゃみ)により骨折を起こすことが多いのです。

特に、女性では閉経後に女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下することで、骨粗鬆症のリスクが高くなるので注意が必要です。

老人に多く見られる脊椎圧迫骨折ですが、たまたまレントゲンを撮り骨折に気づかれる方も少なくありません。骨量の低下は自覚症状がなく進行するのがコワいところです。注意しなければいけないのは骨折したばかりのころは、レントゲンで骨折が判明しないこともあります。痛みが続く場合は再度検査を行いましょう。

高齢の方は圧迫骨折があっても余り強い痛みがなく、本人が知らない間に骨折していることがあります。問題は骨折により変形が進行し骨が潰れ、他の椎体に負荷がかかることで更なる骨折を招くことです。特に体を前後に曲げるとき、体重がかかりやすい腰椎と胸椎の間の骨折が多いので注意しましょう。

早期に受診して、適切な治療を開始することが大事です!

◇治療

薬物療法

薬物療法では、痛みを非ステロイド性消炎鎮痛剤などでやわらげます。骨粗鬆症が原因になるため、骨の破壊を抑え古い骨が分解されるのを遅らせる薬や、骨の形成を促す薬で骨密度を高め再発予防に努めます。

一か月に一回、一年間注射することで良い効果が見られるイベニティという注射もありますので、余り薬で改善されない方は、イベニティの注射も検討されて良いかもしれません。

食事療法

骨の形成に欠かせない、カルシウム・ビタミンD・カリウムなどを不足しないよう摂取しましょう。バランスの良い食事を心がけることが必要です。

運動療法

宇宙など無重力の環境下では、骨にかかる負荷が少なくなり骨密度が低下します。地球には重力がありますが、寝転んでばかりで骨に負荷がかからないことで確実に骨密度は低下します。それは、車いすや寝たきりの方を見ても明らかです。

まずは、外に出てウォーキングなどを行いましょう。紫外線を浴びることで、ビタミンDの活性化にもつながります。しかし、それだけでは負荷が少ないので併用してスクワットなど負荷のかかるトレーニングや踵落としを同時に行いましょう。

まずは踵落としです。自分のこぶしを握り、両足の間にこぶしを入れてください。それが足幅になります。そこから踵を上げ、床を踏み鳴らすように「ドスン」と落としてみて下さい。

座ってでも行えますので、コマーシャルの間など隙間時間を活用できます。回数は20回×3セットくらいから始めてみましょう。

装具療法

圧迫骨折のある方は、硬い素材でできた、硬性コルセットにて固定を行います。大事なことは、背中や腰が丸まらないよう腰から胸までの高さがある装具を装着することです。痛みが治まってきてからは、少しづつ運動療法を行います。それでも痛みがとれない方は、手術も検討します。

一度潰れた、椎体は修復できないように感じますが潰れた椎体を元に戻す手術もありますので参考までに。三か月過ぎても骨がくっっかない場合は、考えてもいいかもしれません。

経皮的椎体形成術

背中を切開し、骨折した椎体にバルーンのついた針を差し込みます。バルーンを膨らませ椎体を元の大きさに押し広げ、できた隙間にペースト状の骨セメントを注入します。

圧迫骨折を起こした方で、腰がくの字に曲がるくらい変形し骨折していても、痛みが余り見られない方もおられます。かと思えば、変形自体は少ないのですが痛みを強く感じなかなか収まらない方もおられます。不思議ですね。

基本的には運動がなにより大事ではないかと思います。痛みのある人生はつらいものですので未然に予防していきましょう!



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