普段リハビリを行うにあたり、自分が大事だと思うことを書いてみようと思います。
①早期からはじめる
昔は病気になったら安静というのが一般的でしたが、今は発症後に症状をみて早期からリハビリを行います。
それはなぜかというと、筋力の低下を避けるためです。
一日、筋肉を使わずにいるだけでどれほど筋力が落ちるかご存知でしょうか。驚くことに3~5%の筋力が落ちると言われています。
個人差はあると思いますが、1週間で20~30%、2週間で50%、1か月で75%の筋肉が減ってしまうこともあります。
筋力の低下以外にも体に何が起こるのか紐解いていきましょう
脳卒中で多い片麻痺(身体の片側半身の運動が障害される麻痺)を例に説明します。
安静にて身体を動かさずにいると、麻痺側に廃用が加わります。
廃用とは、筋力・心肺機能の低下、褥瘡、鬱など身体に生じる様々な状態のことです。
廃用を放置していると、麻痺が無いほうにも廃用が生じます。
これにより、筋力の低下だけでなく、関節の拘縮(関節が固くなり動きが制限された状態)も進行します。
②麻痺のない側の強化に努める
では、麻痺のある側をどんどん鍛えればいいかというと、そうでもありません。基本的に麻痺のない方とある方では違いがあります。
麻痺のない方は、筋力の無いほうを鍛えていくと効率が良いです。
しかし、麻痺のある方は麻痺側を積極的に鍛えても伸びしろが少ないので、麻痺のない側を重点的に鍛えるほうが効率が良いのです。
※麻痺の種類により個人差はあります
特に、下半身の筋力強化に力を入れてください。
腕と足の太さをくらべると一目瞭然ですが、上半身は下半身にくらべ筋肉量が少なく筋力が低下しにくいです。
さらに使う頻度でも上半身は普段から意識せずに使っているものです。例えば、食事、物をつかむ、起き上がるなど。
しかし下半身は、筋肉量が上半身にくらべ大きく筋力が落ちやすいのです。
③行動力を引き起こす
正直、リハビリを行うにあたり一番難しいのは行動力(やる気)を引き起こすことだと思います。
脳のピークは25歳ごろで、1年で約0.5%ずつ小さくなる(元々は1000億の細胞が1日で10万個失われる)と言われています。
ここで問題なのが年齢が増すと老人性のうつが増えることです。この老人性うつは、認知症よりも厄介な症状です。
うつ病では、新しい細胞が生まれず細胞が失われるスピードが加速します。
結果、脳細胞が作れないために行動力の低下がみられるのです。
では、どうすればいいのか?ここで必要になるのが運動です。
詳しい説明は避けますが、人間の感情を制御している脳内物質には、セロトニン(鎮静作用)ノルアドレナリン(やる気、集中力を促す)ドーパミン(意欲や活力を促す)があります。
うつ病は、この3つの欠乏と関係しており、運動にはこの脳内物質を増やす効果があります。
薬でも同じ効果がありますが、薬には多少なりとも副作用があります。
同じ効果が期待できるなら無理のない範囲の運動をおすすめします。
運動習慣は急には身につかないもので、一人ひとりばらつきがあります。
おそらく、半分以上の方が過去に何らかの挫折を経験されていると思います。
習慣づけには、最初が肝心で何度も繰り返すことで、より早く行動が身に付きやすくなります。
まずは週に5日行うことを目安に頑張っていただければと思います。