結論から先に言いますと、もともと体に備わっていた軟骨は再生できません。一般的には軟骨は消耗品で年齢と共にすり減り再生しないので、今ある軟骨を大事に使っていきましょうと説明することが多いです。
しかし本来の軟骨とは違う線維軟骨(コラーゲン繊維が束になり厚く密に構成された軟骨)が条件によっては再生することはあります。
骨や軟骨は毎日体の中で破壊されては修復する新陳代謝を行っており、関節軟骨が失われても線維軟骨が膝関節を保護してくれます。
膝の軟骨が再生されるには何が必要か
膝にかかる負荷を減らす
膝の軟骨を再生させるには、まず膝の負荷を減らすことが先決です。膝への負担は体重と比例し、平地を歩くことを例に説明しますと、平地を歩く場合、約5倍の負荷が膝にかかります。
体重が50㎏の方では250㎏、体重が70㎏の方では350㎏の負担が膝にかかります。これだけの体重の違いでも100㎏も膝にかかる負担が違いますので、いかに体重を減らすことが大事かお分かりかと思います。
関節液の分泌を増やす
膝を動かすことで関節液の分泌を増やすことも大事です。膝の痛い時間帯を思い出してもらいたいのですが、起床時や椅子から立ち上がるときに痛む方が多いと思われます。
これは関節や軟骨が乾燥し軟骨がすり減りやすくなっているためです。では乾いた軟骨を潤滑させるにはどうすればいいかというと、椅子に腰かけ振り子のように膝を前後にブラブラ振ることです。
イメージとしては、乾いた軟骨を粘りのある関節液に保護させるイメージです。関節液は滑膜から出ており、軟骨に栄養を送ることで新陳代謝をよくしているのです。
おまけ
軟骨がすり減り、軟骨がないから膝が痛いと言う患者さんがたまにおりますが、厳密には軟骨には血管や神経がないので痛みを感じることはありません。
では何が原因で痛みを感じているかというと、軟骨がすり減ることで骨の表面を覆っている骨膜(骨膜には毛細血管や神経があります)が大腿骨と脛骨が直接ぶつかることで痛みが生じるのです。
少しでも膝を長持ちさせるよう、日常生活で出来ることから取り組んでいきましょう。