外傷性頚部症候群(むち打ち)・バレリュー症候群

交通事故などでよく聞く、むち打ちの正式名称は外傷性頚部症候群と言います。

激しいスポーツや、交通事故などの衝撃により頚部が前後・左右に急激に振られることで筋肉・靭帯が損傷することで見られます。

注意すべき点は、事故直後に痛みがなくても後から痛みが出てくることがある点です。痛みがなくても、最初の診断が大事ですので必ず整形外科を受診し検査を受けましょう。

○症状

衝撃が大きい場合、激しい痛みが後頭部・肩・腕に見られることがあります。全身の倦怠感、頭痛、吐き気、耳鳴りなどの症状が続く場合もあり、事故の外傷の度合いにより症状には違いがあります。

□首の筋肉の特徴

首の筋肉は一つひとつの筋肉が細く弱く、大きく伸びたり縮んだりしない構造になっています。そればかりか、重たい頭を支えるためにずっと働いていますので筋疲労を解消しにくいのです。

むちうち首骨

首は神経の通り道になっていて、脳から首を経て背中から腰の上部まで脊髄が通っています。脳の血液の供給にも関わり、頭の動きをサポートする大事な場所です。

人間の頭は5~6㎏もあり、例えるならボーリングの玉ぐらいの重さがあります。これだけの重量のあるものを細い首で支えており、事故などの外傷で頭が大きく振られるだけでも、頚に負担がかかるのは想像できると思います。

◇治療

事故や外傷後の急性期は、痛みが強く熱感がある場合が多いのでアイシングにて患部を冷やします。その後、炎症反応がおさまり症状が安定してきてからは、頚の緊張やこわばりを解消する目的で温めるのが効果的です。

注意したいのが片頭痛のあるかたです。片頭痛がある方は首の後ろを温めることで血管が拡張し、痛みが強くなるので注意しましょう。夏場であればエアコンで体が冷えることで、自律神経のバランスが乱れるので体を冷やさないようにしましょう。

カラーでの固定・首の牽引に注意

むちうちカラー

事故に遭うと当たり前のように、よくカラーで固定されてくる患者さんがおられます。

骨に異常があり安定させる目的で使用するのには問題ないのですが、症状的に必要のない方も多く見受けられます。

外傷性頚部症候群は、首の筋肉の異常により副交感神経失調が原因となり様々な症状を引き起こします。

安易にカラーで固定を行うと正常な筋肉も伸び縮みできず負担がかかり、ストレスにより症状が治りにくいケースが多いので注意しましょう。

整形外科や接骨院では首の牽引も当たり前のように行いますが、注意が必要です。首の牽引の目的を簡単に説明しますと、牽引により頚部の椎間板・椎間関節にかかる圧を低下させ血行改善、筋緊張の緩和を目的とします。

しかし考えていただきたいのが、事故により傷ついた筋繊維を引っ張ることで関節だけでなく、異常のある首の筋肉も引っ張るので新たな外傷を作る危険性があります。

ですので事故の直後に、安易に牽引を行うことは考えていただきたいものです。

バレリュー症候群

交通事故に遭われて、3か月経っても痛み、頭痛、めまいなどが見られる方はバレリュー症候群かもしれません。

バレリュー症候群とは、首への外傷により自律神経に障害が出ることをいいます。ここで大事なことは、外傷と結びつかないと正確な診断を下すことが難しい点です。

ですので、必ず、3か月以上経っても症状が持続する方は診断時に交通事故に遭ったことをお伝えください。

でないと症状が自律神経失調症と似通っているため、自律神経失調症と診断される可能性があります。

○症状

耳鳴り・難聴などの聴覚症状、視力の低下・視野狭窄・眼精疲労・目の痛みなどの視力障害、後頭部痛、めまい、吐き気、顔面のいたみ・ほてりなど頭部や顔の周辺に現れる症状が多いです。

◇治療

血行の促進、神経系の異常を抑制する目的で薬物療法を行います。重度の場合は神経ブロックを行い、原因となっている頚部の交感神経の過緊張を和らげます。精神的な不調が強い時は、精神安定薬を使用します。

交通事故は最初の対応が大事になります。症状が気になる方はお気軽にお尋ねください。

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