胸郭出口とは、鎖骨と第1肋骨との間にある隙間から脇の下までのことです。
上肢(肩から手にかけた腕の部分)や肩甲骨まわりの感覚や、運動を司る腕神経叢(図参照)が首と胸の間を通る通路で圧迫され首、肩、腕にしびれが現れる症状を胸郭出口症候群といいます。
どの部分で圧迫されるかにより違いがあります。
肋鎖症候群(最も多い) | 鎖骨と第1肋骨の間で血管・神経が圧迫される。 |
斜角筋症候群 | 首から伸びる斜角筋をくぐりぬける部分で血管・神経が圧迫される。 |
過外転症候群 | 小胸筋の下で血管・神経が圧迫される。 |
頚肋症候群 | 頚肋(頚椎にできる異常な骨)が第1肋骨の上に突出し血管・神経を圧迫する。 |
胸郭出口症候群は姿勢とも関連が深く、不良姿勢が長く続くと神経や血管が圧迫されしびれや痛みがでます。女性に多く見られ、肩こりと同じく猫背・巻き肩が症状を悪化させます。
神経が圧迫されるケースが1番多く、特徴としては腕を上げると痛み・しびれが増す点です。
血管(動脈)が圧迫されるケースでは手や指先がしびれ、だるい感じを伴います。電車のつり革などにつかまろうとすると神経・血管の圧迫が強くなりしびれが増します。
痛みより、腕や肩甲骨周辺のしびれや、小指側の不快感を伴う感覚障害には注意が必要です。
◇治療
なで肩で鎖骨が下がり気味で胸郭出口が狭く、筋力の弱い方は(女性に多い)腕の重みで腕神経叢が圧迫され症状を引き起こすこともあります。肩甲骨の運動・筋力トレーニングで首から肩にかけての筋力アップが必要です。
珍しいケースでは、男性で首が短くいかり肩で筋肉質の方も発達した筋肉により腕神経叢が圧迫されるケースもありますので注意しましょう。しびれ・痛みが強いケースでは消炎鎮痛剤、血流改善薬、温熱療法を行い経過を観察します。
日常生活では重量物を上げたり、リュックなど重いものを担ぐなど姿勢の改善も大事なポイントです。当院では改善を目指すためのストレッチ、姿勢、仕事環境の見直しをお伝えしています。気になる方はお気軽にお尋ねください。