よく患者さんから、やせるにはどうしたらいいですかとの質問を受けます。今回はダイエットをしている方が避けがちな脂質をとるメリットについてお話していきます。
脂質をとるメリット

まず油は体に悪い、太る?という常識を疑っていきましょう。脂質をとることで、疲れに対抗でき、太りにくいからだになります。その結果、病気を遠ざけることができます。
脂質を呼び起こす食べ方
朝から脂質をとり、脂肪をエネルギー源にする体を目指しましょう。人の体は、脂質を食べれば主に脂質をエネルギー減として燃やし、糖質を食べれば糖質をエネルギー源として燃します。リバウンドを経験された方なら思い当たることもあると思いますが、糖質を減らしすぎるとカロリーがたりなくなり空腹を感じます。
カロリー不足を起こさないよう、高カロリーな脂質をとることで空腹感を抑えることができます。脂質は1グラム当たりのカロリーが高いので太ると勘違いされていますが、脂質は代謝を上げるので、運動しない時こそ脂質をしっかりとることを心がけましょう。
糖質疲労

糖質をとりすぎると、疲労感、眠気、集中力の低下、イライラなどの症状が現れます。糖質の摂取では満腹感をもたらすホルモンが出ず飢餓感をもたらすホルモンが出るので食べ過ぎてしまう傾向にあります。
糖質疲労の原因
食後、血糖値(通常100㎎前後)が上がると、膵臓から血糖値を下げる働きを持つインスリンが分泌されます。これは体脂肪の分解を抑え合成を促す肥満ホルモンです。
食後高血糖では、食後1時間で血糖値が140㎎/㎗を超え、糖の摂取により過剰にインスリンが出て血糖値が急に下がる血糖値スパイクが起こります。脳のエネルギーは糖質なので、血糖が急激に下がることで栄養がなくなり節約するモードになり疲労感や眠気が起こるのです。
血糖値を上げるのは糖質だけ
血糖値を上げるのは糖質だけで、脂質もタンパク質も血糖値を上げることはありません。脳の神経細胞と赤血球は糖質を欲し、1日に130g必要です。日本の成人は1日230~300gほどの糖質(ごはん、パン、麺類など)を摂り、主食以外にもジャガイモ、サツマイモなどのイモ類、果物、清涼飲料水、お菓子など糖質の摂取量が高い傾向にあります。
脂質を減らすには脂質をとってはいけないと思っている方が多いですが、脂肪燃焼は脂質の摂取で活性化します。ちなみに高血糖の方は脂質を燃やすのが苦手です。

野菜、海藻、キノコなど低カロリーのものばかりで全体のカロリーが不足すると空腹感が生じ糖質を欲します。カロリーを制限するダイエットは必要な栄養をとれず、結果筋肉や骨が削れ代謝が落ちて太りやすくなります。
筋肉を維持するには肉、魚、卵、納豆などのタンパク質の摂取が重要です。野菜・海藻・キノコ・ナッツなどの食物繊維の役割は、食後高血糖を防ぎ食欲を抑えることです。糖質を控えることで、糖をエネルギーにしていた体から脂肪を効果的に燃やせる体へ変化します。脂質・タンパク質などの満腹感をもたらす食材は有用です。
脂質、タンパク質が血糖値の上昇を防ぐ
少し専門的な話になりますが、脂質を摂ると小腸からGIPというインクレチンが分泌されます。インクレチンとはインスリン分泌を促すホルモンの総称で、インクレチンにはGIPとGLP-1の2種類があります。
GIPの働き
GIPは膵臓に働きかけ、インスリンの分泌を早めます。これにより後から糖質をとっても血糖値の上昇を最小限にとどめることができるのです。さらに脳に働きかけ、レプチンという食欲を抑えるホルモンを分泌し食欲を抑え、たべすぎを防ぎます。タンパク質も脂質と同じようにインクレチンを分泌する働きがあります。
食べた脂肪がそのまま体の脂肪になるわけではない
糖質の摂取により、血糖値が上がりインスリンが分泌されると、脂肪細胞に脂肪を取り込む酵素LPLが活発になります。同時に脂肪細胞から脂肪を放出するホルモンの働きが弱まる結果、脂肪がたまりやすく脂肪が燃えにくくなるのです。
糖質を減らし、脂質を増やすことでLPLの働きが弱まりHSLが活発になることで脂肪が燃えやすくなります。
まとめ
痩せたい方は脂質やタンパク質を最初にとり、糖質を最後に食べるカーボラストを身につけましょう。脂質によりGIPが分泌されたり、タンパク質をとりGLP-1がでるまで20分位かかるので20分空けてから糖質をとるのがオススメです。
