誤嚥を予防するには飲み込む力と吐き出す力が必要です。食べ物を飲み込むには、食べ物を咀嚼し唾液を出し、舌圧で食物をまとめゴクンと飲み込む力が必要になります。
食べ物を咀嚼するには噛む力が大事です。噛む力とは、歯の力とあごを動かす力なので、健康的な歯を維持し、あごを動かす力が必要になります。以下にあごを動かすトレーニングを紹介します。
あ・い・う・べ体操

「あ」口を大きく開け
「い」唇を横に広げ
「う」唇をすぼめ前につきだし
「べ」舌を前に突き出すように大きく動かす
パタカラ体操

「パ」パッと唇を弾くように行う | 唇を閉じる筋肉を鍛え、食べこぼしを予防 |
「タ」タッと舌先を前歯の裏につけ行う | 舌で食べ物を押しつぶし、舌圧の低下を予防 |
「カ」カッと舌の付け根を上あごにつけ行う | 食べ物を誤嚥せず、飲み込む力をつける |
「ラ」ラッと舌を丸め舌先を上あごの前歯につけ行う | 食べ物をまとめる力をつける |
同じ言葉を意識して10回ずつ行いましょう。慣れてくると、パタカラと連続して発音してみてもいいと思います。いずれの体操も、あごに痛みのある場合は無理に行わないようにしましょう。
唾液を出すマッサージ
年齢を重ねることで、唾液も出にくくなり口の中の自浄作用も低下します。唾液を出しやすくすることで、口内の清潔を保ちましょう。誤嚥性肺炎予防にも当然効果的です。
耳下腺マッサージ
耳の前から上の奥歯あたりに4本の指を置き、後ろから前に向け円を描くようにマッサージします。これはサラサラな唾液を出しやすくするためのマッサージです。
舌下腺マッサージ
あごの真下を両手の親指をそろえて、上に向かい突き上げるように押します。これはネバネバの唾液を出しやすくするためのマッサージです。
顎下腺マッサージ
あごの骨の内側に親指を当て、首に近いほうからあご先に向け、移動しながら押していきます。これはサラサラとネバネバの唾液を出しやすくするためのマッサージです。
以上のトレーニングは、あくまで誤嚥を防ぐ補助的なトレーニングになります。しかし継続的に行うことで予防効果は見られますので、根気強く嚥下のトレーニングと合わせ行ってみてください。
舌の位置を意識する
少し本題とはそれますが、あごの痛み、疲れなどの症状にお悩みの方が多くみられます。そのような症状が続くと、顎関節症につながる危険性があります。本来、上下の歯は少し離れています。食事の咀嚼時に接触しますが、時間にすると接触時間はそう長くはありません。
もし睡眠時に歯ぎしりによる接触時間が長くなるとどうでしょうか。睡眠時間は長く歯だけでなく、筋肉、関節にも負荷がかかります。本来、口を閉じたとき舌は上あごにつき、舌先は上あごの裏につきます。舌の筋肉が落ちだらりと落ちることで、いびきをかき、睡眠時無呼吸症候群につながるため注意が必要です。