「血尿から始まった長い旅 〜腎結石は忘れた頃にやってくる〜」

「人の身体は、黙っていてもサインを出している」
これは後になって、身に染みて分かったことです。

今年2月のある日、いつものようにトイレで排尿していると、ふと違和感を覚えました。
私は普段から尿の色を確認する癖があるのですが、その日はどう見ても赤い

「……いや、気のせいだろう」

人間、不思議なもので、見たくない現実ほど都合よく解釈するものです。
この時の私は、まさにその典型でした。

ところが半月後、ランニング後の排尿で再び血尿
さすがに二度目ともなると、無視する勇気はありません。
頭に浮かんだのは、膀胱炎、腎疾患、そして最悪の場合の腫瘍。

「これは素人判断ではいけない」

そう自分に言い聞かせ、人生で初めて泌尿器科を受診しました。


腎臓は、まさかの“満水状態”

超音波検査の結果、
「腎臓が、パンパンに腫れて水腎症の状態」

さらに「小さな石のような影がある」とのこと。
精密検査のため総合病院でCTを撮ると、驚くべき事実が判明します。

腎結石、5個以上。

「いつ落ちてきてもおかしくありませんよ」

この言葉を聞いた時は、正直なところ、実感はありませんでした。
痛みもなく、血尿も止まっていたからです。

処方されたのは、
・痛み止め
・尿管を広げる薬

「しばらく様子を見ましょう」

こうして、静かな時間が始まりました。


忘れた頃に、石は牙をむく

5月。
夜、布団に入っていると下腹部に違和感。
「眠れないほどではないが、嫌な痛み」。

翌日には背中に移動し、
まるで背後からドスで刺されているような痛みが続きます。

どんな体勢を取っても楽にならない。
医療従事者として「救急車を呼ぶレベル」と言われる理由が、よく分かりました。

幸い、数日で痛みは軽減。
「尿管から膀胱へ落ちたな」と、またもや都合よく自己完結。

しかし、石はそんなに素直ではありませんでした。

6月、そして10月。
同じような痛みが、忘れた頃にやってきます。


ついに、その瞬間は訪れる

10月のある夜。
頻尿気味でトイレに入り、排尿していると――

グッ。

突然、尿が止まりました。
次の瞬間、肛門側から突き上げるような衝撃。

「ピョッ」

という感覚とともに、尿が一気に流れ出ました。

恐る恐る便器を覗くと、
白い小さな塊が、そこに。

「……あ、これか」

さらに尿道内にも白い塊を確認。
慎重に排出すると、ギザギザした結晶状の石が姿を現しました。

血尿に気づいてから、実に8か月
長い旅の終着点でした。


石は、静かに育つ

振り返ってみると、原因には心当たりがありました。

・コーヒーを1日5〜6杯
・アーモンド、くるみ
・高カカオチョコレート
・緑茶

「健康に良い」と信じて続けていた習慣の数々。
しかしこれらは、シュウ酸を多く含む食品でした。

砂糖水を十分にかき混ぜないと結晶が残るように、
体内でも条件が揃えば、シュウ酸は静かに結晶化し、やがて石になります。

音もなく、痛みもなく、
ただ着実に。


終わりに

腎結石は
「出産の次に痛い」
「痛風より痛い」
と表現されますが、決して大げさではありません。

二度となりたくない痛みです。

それでも人間は愚かなもので、
石が2つも出たというのに、最近またコーヒーに手が伸びています。

だからこそ、戒めとしてこの文章を書きました。

血尿は、身体からのはっきりした警告です。
どうか「気のせい」で済ませず、早めに医療機関を受診してください。

これは、私自身が身をもって学んだ一年の記録です。

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